コーポレートガバナンスと株式持合い

コーポレートガバナンスと株式持合いということについて、簡単にお話ししましょう。

コーポレートガバナンスと株式持合い

コーポレートガバナンスとは、企業統治のこと。 株式持合いとは、複数の企業が相互に相手企業の発行済株式を保有しあうこと。

コーポレートガバナンス 

まず、コーポレートガバナンスとは、簡単に言うと、企業統治のことを指します。 コーポレート=企業、ガバナンス=統治ということですが、ガバメント=政府が国を統治するのと対比で考えることもできるでしょう。 コーポレートガバナンスとは、企業を、誰が、どういう方法で、どのように統治=経営していくのかという考え方です。

コーポレートガバナンスとは、本来的に、株主重視の経営が遂行されているかという視点に立ったものです。 つまり、コーポレートガバナンスとは、経営のチェック機能、時宜を得た適切な情報開示、経営層の選出などを根幹とする経営体制・経営システムの構築に深くかかわる事柄といえるでしょう。

コーポレートガバナンスの具体的なあり方については、まだ、世界的に論議を呼んでいるところです。 いわゆる、内部統制システムであるリスク管理体制やコンプライアンス体制もその一翼を担う重要事項ではありますが、もっと包括的なシステムの構築が求められているといってよいでしょう。 「コーポレートガバナンス」の主な項目としては、透明かつ効率的な市場の促進、コンプライアンス順守のシステム構築、責任分担の明確化、株主権利の保護、ステークホルダーの権利尊重、重要事項の開示の徹底、取締役会によるアカウンタビリティの確保などがあげられるでしょう。

株式持合い 

一方、株式持合いとは、複数の企業が、相互に相手企業の発行済株式を保有しあうことをさします。 ここでいう企業=株式会社を、上場企業同士の関係に限定している定義もあります。 株式持合いは、海外にも同様の例がないことはないが、日本特有のものとされることが多いです。

日本的な株式持合いが生まれた背景としては、まず、安定的に資金調達を行いたいという企業側の思惑と大量の資金を投資運用して、収益をあげ、規模を拡大したいという銀行側の思惑が一致したことが挙げられます。 次に、原材料・部品・加工・販売を行う会社間に長期安定した取引関係を継続するため、また、メーカーと商社のように、製造する企業と販売する企業の関係が密接である方がメリットがあることが挙げられます。 そして、対外的に、資本貿易の自由化の流れの中で、外資系企業による国内企業の買収を防ぎたいという財界の思惑も強く働きました。

株式持合いの下では、各企業の経営については、大きくは、メインバンクを中心とする銀行グループが、主として、財務面で監視機能を果たしてきました。 しかしながら、とくに大きな問題のない限り、基本的には、各企業の経営は、その経営陣に任され、監査役との内部監査機能も身内同士ということでうまく機能しませんでした、 また、外部監査を行う、会計監査法人も、営業的な戦略などから、十分にその機能を果たし得ませんでした。

それでも、高度成長期やバブル期には、こうしたも株式持合いがうまく機能して、特に危険視されることもありませんでした。

問題点・課題

コーポレートガバナンスと株式持合いと言われる場合、株式持合いの持つ問題点が指摘されます。

エンロン、ワールドコムなどのインターナショナルな超大企業の不正経理事件を端緒として、バブル崩壊の時期とも重なり、日本においても、株式持合いの負の側面が 一機の噴出してくることとなりました。 おりしも、株価の長期的な下落は、メインバンクの持ち合い株による含み資産をふきとばし、結果的に銀行による持ち合い株の売却が始まりました。 企業同士も、同様に、資金需要の必要性や含み損解消のため、次第に持合いを解消せざるを得ない状況に追い込まれていきます。

このことは、それまで、株主は配当をくれれば何も言わないという状態から、外資なども含めて、いわゆる「モノいう株主」化による企業を取り巻く環境の激変につながりました。 こうして、粉飾決算や各種の偽装などが「モノいう株主」に厳しく追及される場面もよく見られるようになってきました。 株価の大幅下落は、海外ファンドによる日本企業の買収に道を開き、M&Aなども日常茶飯事になってきています。

もはや、株式持合いなどとは言っていられない状況の中で、各上場企業は、企業買収防衛策に汲々としている面もあります。

しかしながら、真に、株主をはじめとする利害関係者=ステークホルダーの期待と信頼に応え、また、国際基準の内部統制機能確立のためにも、コーポレートガバナンスの確立は、一刻の猶予も許されない状況と言えるでしょう。